木祖村景観計画アクションプラン

Kiso Village Action Plan

はじめに

木祖村村長
唐澤 一寛

平成25年3月に「源流の里 木祖村景観計画」を策定し、景観計画がめざす将来像も含め、景観づくりの基本方針を定めました。
 平成28年度から、景観計画をより具体的にしていくために、景観計画でもお世話になりました景観アドバイザーの山田健一郎先生や信州大学工学部の寺内研究室の皆さんに加わっていただき、景観形成推進審議会を新たに組織し、3つの部会「条例部会」、「実践部会」、「人づくり部会」で議論を重ね、実践とプランづくりを進めてきました。
 このたび、これまでの取組みを「アクションプラン」と言う形にまとめ、ホームページ等で公開していきながら、景観形成に対する意識高揚を図りつつ、景観形成の先導的役割となる事業を更に推進し、「住民協定」や「モデル地域」の指定を行いながら、移り住みたくなるような美しく愛される村を目指します。

木祖村景観
計画とは

木曽川源流の里にふさわしい自然や文化、歴史があふれる景観を守り育み、次の世代に豊かな環境を引き継ぎ、活力のある村を目指すための計画であり、景観法第8条の「良好な景観の形成に関する計画」に位置づけられます。景観計画では、木祖村の景観構造と土地利用に即して景観の特性や課題を明らかにし、良好な景観の形成を推進するための基本方針や、重点的に推進する整備項目などを定めています。
また、村民、事業者、滞在者といった村に関わるひとびと全てが、木祖村の良好な景観形成の主体であることを認識し、各々の恊働による良好な景観の形成を実現することができるよう、取り組み体制についても定めています。

5つの
基本方針

住民のくらしを大切にした
活気あふれる景観づくり
村の資源を活かした
おもてなしの景観づくり
木曽川源流の水を
活かした景観づくり
美しい里山と四季の
花咲く景観づくり
歴史と街道文化の薫り高く
生活の風景が感じられる景観づくり

景観形成推進審議会の
経過

3つの部会を設け、
主に次のことを決めてきました。

1条例部会

条例部会では、村が景観条例を制定することが必要か否かなどの議論を重ねました。議論のなかでは、「条例を制定すると縛りを強めてしまう印象を持ってしまう」と言う意見が多く、「地域ごとで住民協定を結んだやり方の方がよい」と言うことで意見がまとまりました。そこで、住民協定を結んだ地域をモデル地域に指定し、村全体に波及していくことを目標としました。

2実践部会

景観計画のなかのアイデア集を参考にし、今、村の中で何に取り組めるかを最優先に考え、できることから始めようと言うことで、観光地の眺望をよくするための支障木伐採事業と、住民の身近な部分としてゴミステーションのモデル事業に取り組むことが決定しました。このことがきっかけとなり、村内に波及していくことを目標としました。

3人づくり部会

景観形成としての人づくりとは、意識の問題であるとの意見から、小さな子どものころからの意識づけや、普段やっていることを意識させることから始めてみようと言うことで、「源気くん認定制度」を創設しました。花壇の整備や、環境整備など、日ごろ住民の方々や、団体・企業の方々が取り組んでいることを「景観形成」としての取組みとして認定するものです。認定100件を目標としました。

木祖村景観形成
事業概要

景観アクションプラン
策定の目的

景観形成とは、風景・歴史・自然・人・物・事・動きなど、様々なものすべてが景観形成に関わっています。景観形成を推進していくためには、村民の景観形成に対する理解と協力が不可欠ではあり、長い年月も必要となります。その上、着地点が見えづらく、目標も定めにくいものです。従いまして「何から手をつけたらよいのか」、「どんなことが必要なのか」など、なかなか行動に移しにくいものでもあります。
 そこで、行動するために必要なきっかけや道筋を立て、方向性を導きだすことが必要であると考えます。現在、村民や各種団体、事業所等で行っていることそのものが景観を形成しているわけでありますが、環境や自然、歴史的背景などから地域ごとに目指す姿は異なります。このアクションブラン策定の目的は、地域ごとに目指すべく姿を地域住民一人ひとりが同じ意識をもっていただくためのものです。

それぞれの役割

1行政の役割

・景観づくりに対する村民への意識啓発活動の推進
・公共事業における景観への配慮とチェック体制の整備
・景観に関する関係各課の連携
・景観に関する住民相談窓口の設置
・道路、河川清掃、花植えなどの演出
・住民主導の景観づくりに対する専門家の派遣
・景観に事業推進を図るため、景観に関する補助施策を策定

2住民(村民)の
役割

・美しい景観づくりに対する理解や活動
・家の周りや地域の環境美化活動への参加
・周囲に調和する住宅の配慮
・可能な範囲での自分の家の周りや田畑、森林の管理など

3企業・団体の
役割

・美しい景観づくりに対する理解や活動
・事務所、工場、看板の景観に対する配慮
・周囲に調和する建物の配慮
・事務所や地域の清掃、花植えなどによる演出

住民協定

村内の住民協定は、「きさらぎの里景観形成住民協定」が平成11年5月31日に菅地区の住民で協定締結されています。建築物等の高さ制限や色調等に配慮する他、水質の保全、自動販売機の設置等に関する内容が盛り込まれております。
今後は、このような地域の風土・歴史・文化・自然等を活かした住民協定を地区ごとに締結できるよう検討を進めてまいります。

《きさらぎの里景観形成住民協定抜粋》
第4条
(1)建築物の形態は、周辺の景観に調和したものを基本とし、屋根形状は原則として勾配屋根とします。垣根等についても生垣にする等周辺との調和を図り、『源流の里』に相応しい田園風景づくり、詩情豊かな郷土づくりに努めます。
(2)建築物の高さは10m以下とし、屋根、外壁などの色調は刺激色をさけるほか、周辺との調和を図るものとします。
第5条
(1)広告物の設置、掲出及び表示は、本協定の参加者に関する自己用に限るものとします。
(2)広告物の設置、規模については、高さは5メートル以下、面積は6平方メートル以下とし、色彩及び意匠は、周辺の景観に調和したものとします。
第6条
(1)既存樹木を育成、保護し、修景、緑化に努めます。
(2)史跡、神社、祠、石仏、石碑などの保全に努めます。
(3)遊休農地の解消に努め、道路沿線の薮や草刈り、花木の植栽等景観整備に努めます。
第7条 清らかで豊かな源流の水と空気を守るため、下水道の早期加入を促進するとともに、河川の清掃や空き缶、ゴミ拾いを行い、水質の保全と大気の汚染防止に努めます。
第8条 自動販売機等の設置については、自己営業用に限るものとし、周囲との景観に配慮するとともに、空き缶等の散乱防止に努めることとします。

実践プランとは

 実践プランの中で、最初の取組みとしてゴミステーションのモデル事業を実施しました。 村内に存在するゴミステーションは137か所です。平成29年度、「長野県地域発元気づくり支援金」事業として、希望された地域4か所に景観配慮型のゴミステーションを設置しました。今後、使用していく中で使いかってに課題等が出てくると考えられますが、標準モデルのマニュアルを作成してありますので、他地域のゴミステーション更新時には、このモデルステーションを参考にしていただくようお願いします。

実践
1

田屋地区のゴミステーション

このタイプは、一番標準モデルに近いゴミステーションとなります。右側に生ごみ用のポリ容器が収まり、左側の扉から収集袋を入れます。右側の生ごみ用ポリ容器の上には空間があり、ポリ容器のふたが容易に開けられるよう空間を設け拝領してあります。

・薮原出口地区のゴミステーション
このタイプは、この出口地区専門に作られたもので、傾斜を利用した設計になっています。生ごみ用ポリ容器も中に納まり、後ろの石崖にも配慮した設計となっております。

ゴミステーション|祢宜屋地区

ゴミステーション|田屋地区(菅エリア)

ゴミステーション|出口地区

ゴミステーション|寺平地区